ナントモハヤ

明日のぼくを殺せ。昨日のきみを救うために。

麺を食う3 南新宿 ヤスオ(仮)

 細くて長くてぬるぬるしたものは、正義!

 そんなわけで、麺類が好きです。
 ある日、ラーメンマップをチェキしていると、活動範囲内に見知らぬラーメン屋が出来ていたわけです。南新宿駅からほど近い住宅街の中。このへんは新宿西口から徒歩数分にありながらも、どこか昭和の雰囲気もあります、なんたって銭湯とコインランドリーがあるわけです。新宿の方に少し歩けば有名店「風雲児」なりがありまして、ところで俺はあそこの真価はかまたまーめんの方だと思うんだけど、つけ麺の方が有名よね。そして代々木の方に行けば「一風堂」アリ、あそこの赤丸味噌やたら甘いよね。まあそんな名のある店がひしめく新宿代々木界隈にどんな麺を持ってくるのか! いやがおうにも期待は高まるばかりです。
 
 ラーメンマップには「ヤスオ(仮)」とか書いてあり、微妙なネタのスベリ感が漂ってくるのも上質の食前酒のように食欲を沸き立たせてくれます。「ニコ二コ動画(原宿)」とかそういうセンスか。

 平日の昼頃、どうやら出来て一月も経ってないはずなのにもう行列のようなものが店の外に……店……?

 

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 手作り感、ある。

 蕎麦屋とかでこんな店構えで、貼ってあるモノも筆とかだとなかなか良さそうなもんですけど、こうなってくると商店街の魚屋の軒先みたいな雰囲気になってしまっており、さらにワクワクが高まる。店長と思しき陽気な人が、客の風采によって柔軟に態度を変化させながら接客しており、新店とは思えない。でも内装は居抜きとかそういうんじゃなく、そこにあった事務所か工場にカウンターをのっけただけみたいな思い切った内装。たまらない。そしてレジはなく簡易金庫が入り口にデーンと置いてあり、店主が麺を作ったり会計したりしてる後ろにはでけー製麺機が鎮座ましましており、そこに興味を引かれた客があると思えばすかさず店主は「毎朝これで打ってますよ!」と大変気持ちのよい解説が始まる。この店主の妙なカリスマ感と店の手作り感が相俟って、粗末な店構えや店内も非常に完成された演出なのではないかと思えてくるから不思議だ、これがデザインってやつか(多分違う)。店内に「スズキヤスオ」とカタカナで書かれた食品衛生責任者の表札(表札である)が掲げられており、マツモトキヨシから派生した「×―ペケ―」ネタの「イトウマキオ」的なものを彷彿とさせ笑みがこぼれる(それはわからないネタだと思うよ)。そもそもどこかで屋台を引いていて、評判のあった店らしい。へー。


 二郎を食べたことがないのだが、どうやら二郎的なラーメンであると思われる。汁の中に麺があるのではなく、麺の中に汁があり、トッピングをしたが最後、「麺を掘り返す」という作業が加わり一気にスポーツと化すと聞き及んでいる。「もやしは400gあるから、麺を大盛りにすると食べられないかも!」っていちいち聞いてくれるので、もちろんぼくは怖じた。もやしを頼まずにおくと、残念なことに素の状態でもやし0らしく、極端なもんだなと思った。太麺と細麺に種類が分かれ、太麺を頼んだ。ちなみに太麺は「ラうどん」細麺は「ラそば」とこの店では呼ばわるようだ。好みの問題なのだが、太麺は平打ちで大分箸に余る感じ、コナの味を味わいたかったことはあるけれど、個人的には(食べやすさ的に)細麺にしとけば良かったかなと思う。麺の量はどうも言えば言っただけ増えそうな事を言って気がするのだが、真意としてはわからない。ぼくが頼んだのは400gであったと思う。しかし400gの太麺に400gのもやしを乗せて食うのは、落ち着いて考えるとけっこう気が狂っているなあと思う。
 ぼくはけっこうニンニクに弱いからだなので、ニンニクを少なめd頼むのだが「入れた方がおいしいんですけどね……」ととても残念そうに店主が笑いながら言うのが印象的というか「ああこの人好きでやってるんだな」(そりゃまあ、そうだろうが)という感じがして面白い。

 もう秋だというのに席は暑い、隣に座った学生グループは新店だというのにもう常連の顔をして「いやー涼しくなったからどうにか座ってられるね!」とか言ってる。7席程度のカウンター、窓は開いているが風通しはこの店飲食店として大丈夫なのかと思うくらいに微妙で、客が快適に飯を食うことに関しては、ある程度切り捨てている感じが見受けられる(それが悪いとかじゃなく)。動いていてもあまり効きそうにないクーラーはこの日は止まっており、各席でぱたぱた備付けのウチワをあおいでいるのは中々壮観なものだ。


 やがて、麺が来る。

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 コレを見ると大人しそうに見えるが、箸を麺の下にくぐらせて持ち上げようとすると冗談抜きに箸が折れそうになるほどの麺の密度におののく。しょうがないので少しずつ食っていたのだが、隣の巨漢はそれを横目で見て挑戦的な面持ちでドンブリに顔を近づけると「ズルル! ズルルルルルル!」と口で言いながら次々と太麺をススっていく様は今思い出しても壮観でありました。この下り三割ウソです。
 ところで、この写真の左手前にある「バクダン」が具材として結構秀逸なもので、+100円で店主がオススメしてきたんだけど、青唐辛子の刻みをチャーシューの肉で包んだものらしい。これがけっこう良かったので、行くことがあれば入れてみるといいとおもいます。でも、中身は日によって変わるらしいので要確認。

 あれ、味の話してないな?
 おいしかったよ!