ナントモハヤ

明日のぼくを殺せ。昨日のきみを救うために。

2012のはじまりに

 コブジメが嫌いだった。 


 おせちの話。
 正月の間にどれくらい太るのかを競い合わせる事で、どのくらい自己の抑制が効くのかを他人に見定められるというわけ。それでいて痩せるとあらあなたお正月なのに贅沢をすることすら自分に許さないのなんてストイックなの、そんなストイックな人とは友達で居られないわねだって私たち俗物だもの、そう、あなたは私たちをバカにしているのよね、さあさ行きましょう。ということになるわけで現状を維持するより他はない。手段はない。酒が抜けたときに自分の肉の重さに、呼吸をして膨らんだ肺が腹膜を押し下げようとして肉に触れる感覚に絶望するのは、愚の骨頂なのである。幸いなのは、本来ならば肉と皮を突き破りみじめな姿をさらすべき骨頂が厚すぎる肉の中に埋もれてしまうということ。それにしてもカズノコはうまい。カズノコとはつまりカドの子でありニシンの子であるが数の子という表記にあらわれているように数ある子、子だくさんを祈願してめでたきおせちに入っている品である。ところでうち今年喪中じゃねえのかおせち食っていいのか。まあそれはさておき、そんなカズノコをパリパリと食いながら自製のスクリュードライバーをグビグビと浴びている30男を去年めでたく還暦を迎えた父親はどんな目で見ていたのか考えるだに胃が痛い。おそらく食べ過ぎで。それでまた外に出ると孫連れのジジイとかが楽しそうに闊歩していらっしゃるので、そんなときは視線を塞ぐように、視界にそれが入らないようにスッと前にでるやさしいこころを持ち合わせたのがこちらの息子になります。ぼくより年若いみんなもぜひ見習って欲しい、これはきみらの行き着く道なのである。正月からシンキくさいはなししてるんじゃねえよ! さあゴミ箱を妊ませろ! タツ年でもかまわずとらのアナに籠もれ! 名前はよくわからないけどちはや、この柿でバターを挟んだやつ、すきー。


 ごまめを囓りながら死んでいく。




 コミケの話。
 男の子が女の子の格好しているえろいほんとか、女の子に触手が絡んでいくいやらしいほんとか、おんな勇者があほな本とか、女の子をパンにみたてて女の子がもふもふするほんとか、はかせがはかせではかせだったのではかせはちゃんとはかせであるためにはかせであることをりようしてひとりぼっちにならないためになのをつくったんだよというもうしにたいほんとか、ただひたすらおんなのこがかわいいほんとか、おんなのこがぜんぶゾンビの本とかメガネのせんぱいにこいする知的クール主人公系の後輩の恋心がずっとそのまま続いていくだけのほんとか、おんなのこが武器をかまえているだけのほんとか、おんなのこに触手が絡んでいくいやらしいほんとか、もちろん百合本とか、おとこのこが触手なほんとか買ってきました。あとゆいあずも一冊ありますねグヘヘ。ゲゲッ、こんなところにロリ桜! やめて! これはちょっと人様に言い訳効かないタイプ! 触手は効くんですかちはやさん。触手は! 純愛! 芸術! 情熱の、迸りィッ!(ビクンビクン(えっ、早い

 正月だつってんだろ。


 今年の話をしたいのに、今年しかできない話をしたいのに、今話したことは、別に去年でも来年でも大して変わらない事じゃないのって感じ。話すこともなにもないんだけど。俺は今年何をすればいいんだろう。「ちなみに」と「いちおう」を文頭に持ってくるすべての自意識過剰たちを闇の魚市場に送り込む副業を軌道に乗せたい! 口にしてみるとそれはなんだかとてもステキなことのような気がして来るではありませんか! いまぼくがどのような姿でこれを書いているかと申しますと右手を左肩に薬指だけを折って添え、左手で掌底をみづからの顎に刺しながらこのエントリを書いています。これなんなの。つまり今年も格好ばかりで何も為さないというそういう意気込みをあらわしているの? おまえは今ので格好が付いていると思って居るのか! 靴下を脱げ! 浸した氷水に塩をかけろ! 


 もういいか? こ、これで妹の身を解放してくれるんだろうな!?
 クク、まったくおめでたい脳みそだぜ!

(銃声)
(おわる)
(えっなにこれ、日記?)
(酔)
()